訴えのままに薬を処方していると、すぐに薬の種類は10種類を超えてしまいます。そうなると薬の副作用なども発生して、その処方が本当にその人の寿命や生活の質を上げるのかは不明確になります。
90歳以上の人に通常と同じように風邪薬や睡眠薬を処方するのはとても危険なことです。また、漫然と10種類以上の薬を一ヵ月処方するというのも、いろいろ問題があります。
入居時に必要なのかどうかを判断して薬の中止、変更を指示、様子をみていますが、問題になる事はほとんどありません。逆に明らにこの薬は必要だと思う薬は処方するようにしています。
多くの診療科を受診している場合、1日10種類以上の薬を処方されている事が多いです。
利尿剤と頻尿改善薬、下剤と整腸剤などの処方は患者さんと話し合って、どちらに方向性を向けるかを考えた方が良い場合もあります。薬の調整をしていると、薬を減らした方が上手くいくこともあります。
また、認知機能が低下している方などは、病院に入院することにより余計にパニック状態となり認知機能が低下することがあります。何でも手術、検査、薬を飲むことが最善の医療ではないと私は考えます。本人と家族の希望を聞いて「治療をやらない」という判断も必要だと思います。
もちろん治すことが可能な病気や急激な体調の変化には、全力で診療をすることが前提の話ですが。
今後の超高齢化社会において、薬の必要性を考えて処方、中止の指示をすることはとても重要だと思います。
薬の大きさ、飲みやすさなども考えて処方をするように心がけています。
岡部医院院長 岡部 誠之介