2017年12月13日

最新の米国での高血圧ガイドライン(高血圧 内科 犬山市)

米国の高血圧ガイドラインが変更され、高血圧の診断と治療目標となる血圧レベルを全て130/80mmHgに引き下げられました。降圧目標のレベルは、高齢者においても例外とせず、130/80mmHg未満へのより低い血圧へのコントロールを推奨しています。

今回の変更の根拠はSPRINT試験の成績(N Engl J Med 2015; 373: 2103-2116)と、ランダム比較試験のメタ解析の成績(Lancet 2016; 387: 957-967)が発表され、その解析と議論の結果によるものです。試験では120mmhg未満を目指した厳格降圧群が140mmhg未満を目指した標準降圧群に比べて、心血管イベントリスク、総死亡リスクともに有意に低下させてという結果が出ました。しかしながら、120mmhg未満は厳しすぎるのではないかという意見があったようで上記のガイドライン変更となりました。

最近では病的な著しい血圧上昇(血圧サージ)のあるところに循環器疾患のリスクがあるといわれています。血圧は循環器疾患の進展と発症の全過程に強く関わることから、血圧をより低いレベルに保つことで、血管障害の進展が抑制され、血圧サージによるイベントのトリガーが回避されるのではないかという考えには賛成できます。

アジア人では高血圧とより関連の強い脳卒中や非虚血性心不全が多く、日本人では特に厳格な降圧が有用であるという話もあります。高血圧の基準について注意が必要ですね。
岡部医院院長 岡部誠之介
posted by okabeiin at 09:50| 高血圧