米国のガイドラインは平成29年に変更され、上が130以上、下が80以上を高血圧とすることにしました。高血圧は動脈硬化の最大の危険因子で、進行すると脳出血や心筋梗塞、腎機能障害などを引き起こす蓋然性が高くなります。急な病死などの多くは動脈硬化による大動脈解離、大動脈瘤破裂、心筋梗塞、脳卒中などの病気が原因であることが多く、これらの病気の原因に高血圧が関係しています。そしてそのほとんどは自覚症状がなく、ある日突然に発症します。
多くの高血圧は治療が可能です。どんなリスクもゼロにするのは難しいものですが、高血圧の死亡リスクは治療によって明らかに低くできるものです。健診で高血圧を指摘されたり、自宅で測った血圧が、上が130以上だったりした方は、医院に受診・相談されるほうが良いでしょう。
高血圧でも心配ない、放置して良いと週刊誌等で発言されている方がごく稀にいますが、実際の実臨床を行っている医師の集まりで、そういった主張をしている人は皆無です。高血圧の薬もジェネリック医薬品などの登場により、かなり薬の値段を下がってきています。2017年の医療用医薬品売上高は約10.5兆円でその中でがん治療薬は約1兆円、糖尿病薬は5500億円、高血圧治療薬は4600億円です。最近の血圧は下げるな、という記事の中に年間9000億円という間違った情報が載っていたので、気になって調べてみました。
根拠に基づいて治療を行うためには根拠となるデータの信憑性も重要になります。
世界的な医学雑誌等に記載されることは信憑性が高いと考えています。
岡部医院院長 岡部誠之介