かかりつけ医研修会で家族性高コレステロール血症(FH)について
再度勉強をしてきました。
家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia: FH)は
高LDLコレステロール(LDL-C)血症、皮膚ならびに腱黄色腫、および早発性冠動脈硬化症を主徴とします。
FHは遺伝的背景のない高コレステロール血症に比べてLDL-C増加の程度が著しく動脈硬化の進展は早く、それに伴う臓器障害の程度も強いため、動脈硬化性疾患の予防を目的としたLDL-C低下治療が必要です。
遺伝性疾患であり、常染色体優性遺伝形式をとります。
FHヘテロ接合体患者は500人に1人以上、ホモ接合体患者は100万人に1人以上の頻度で認められ、わが国におけるFH患者総数は、25万人以上と推定されます。
様々な遺伝性代謝疾患の中でもFHは最も頻度が高く、日常診療において高頻度に遭遇する疾患といえます。FHは稀な疾患ではなく、治療を受けている高LDL-C血症患者の約8.5%を占めるとする報告がなされています。
未治療時のLDL-C 180mg/dl以上の場合、特に若年者の場合はFHを疑うことが重要です。
研修会では特に
FHの診断率が低いので現在、脂質異常症の治療中でも初診時のLDL-Cの値や家族歴に気を付けましょうという話がありました。
ポイントとしては
@初診時のLDL-Cが異常高値でなかったか
A早発性冠動脈疾患(男性55歳未満 女性65歳未満)の家族歴がないか再確認
Bアキレス腱肥厚の触診
C薬でもLDL-Cの値が下がりにくくないか
です。
高LDL-C血症自体は無症状ですが
FHの場合は冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)のリスクが高いので
早期診断とLDL-Cの厳格なコントロールが重要です。
また、家族の方にもFHの方がいる可能性があるので
その診断と治療に関わることが重要です。
岡部医院院長 岡部誠之介
2019年08月27日
家族性高コレステロール血症(FH)について
posted by okabeiin at 11:13| 岡部医院