米ワシントン大などの研究チームが、世界188カ国の「健康寿命」(2013年)などを調べた結果を、英医学誌「ランセット」に発表しています。この研究で、世界中の死亡リスクについても検討しており、最も高かったのは高血圧でした。次いで、喫煙、肥満、高血糖、塩分過剰摂取の順でした。
米国のガイドラインは平成29年に変更され、上が130以上、下が80以上を高血圧とすることにしました。高血圧は動脈硬化の最大の危険因子で、進行すると脳出血や心筋梗塞、腎機能障害などを引き起こす蓋然性が高くなります。急な病死などの多くは動脈硬化による大動脈解離、大動脈瘤破裂、心筋梗塞、脳卒中などの病気が原因であることが多く、これらの病気の原因に高血圧が関係しています。そしてそのほとんどは自覚症状がなく、ある日突然に発症します。
多くの高血圧は治療が可能です。どんなリスクもゼロにするのは難しいものですが、高血圧の死亡リスクは治療によって明らかに低くできるものです。健診で高血圧を指摘されたり、自宅で測った血圧が、上が130以上だったりした方は、医院に受診・相談されるほうが良いでしょう。
高血圧でも心配ない、放置して良いと週刊誌等で発言されている方がごく稀にいますが、実際の実臨床を行っている医師の集まりで、そういった主張をしている人は皆無です。高血圧の薬もジェネリック医薬品などの登場により、かなり薬の値段を下がってきています。2017年の医療用医薬品売上高は約10.5兆円でその中でがん治療薬は約1兆円、糖尿病薬は5500億円、高血圧治療薬は4600億円です。最近の血圧は下げるな、という記事の中に年間9000億円という間違った情報が載っていたので、気になって調べてみました
2024年12月24日
2018年のブログより 高血圧症について
posted by okabeiin at 07:44| 岡部医院