2018年09月04日

実証と虚証(犬山市 漢方 内科)

漢方用語で「実証」と「虚証」というものがあります。

実証とはがっちりとして筋肉質、声が力強い、夏は暑がるがバテない、消化機能が強く、冷たいものも平気、お相撲さんのようなイメージです。ほとんどの漢方を問題なく飲める、麻黄の入っている漢方、葛根湯などを飲んでも平気というのが実証です。

虚証とはやせ形、水太りで皮下脂肪が多く、夏バテ、寒がり、消化機能が弱い、麻黄の入っている漢方を飲んで胃がムカムカするという人は虚証です。他にも地黄、石膏、当帰などでも胃がムカムカすることが多いです。

ただ、実際には麻黄が飲めそうで飲めない、飲めなそうで飲めることもあります。ちょっと飲める人は中間証と考えます。また、これらは症状や時期によっても変化していきます。

少しマニアックな話になりますが「○○の裏処方は△△」といわれることがあります。
本当はこれを飲ませたいが、それより虚証なのでこちらにしようという事です
小柴胡湯→補中益気湯
桂枝茯苓丸→当帰芍薬散
女神散→加味逍遥散
などがあります。

小柴胡湯と補中益気湯の関係性はなかなか興味深い所で、補中益気湯は「医王湯」とも呼ばれ、江戸時代の漢方医の浅田宗伯いわく、本方を小柴胡湯の虚した状態に用いれば期待を裏切ることはないと話していたそうです。

補中益気湯の「中」は胃腸を指し、「益気」には「気」を増すという意味があります。胃腸の消化・吸収機能を整えて「気」を生み出し、病気に対する抵抗力を高める薬です。

私は補中益気湯と五苓散を併用して飲むことが多いのですが、補中治湿湯と呼ばれます。胃腸・吸収機能を整えて水のバランスを整えるといった所でしょうか。
岡部医院院長 岡部誠之介
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posted by okabeiin at 09:20| 漢方内科

2018年09月03日

漢方薬の副作用(漢方薬 犬山市 内科)

医学がどんなに進歩していても治しにくい症状があります。命に関わるものではないけれどもじわじわと患者さんを苦しめる、そんな症状は漢方薬が得意とする分野です。基本的には西洋医学で治らない訴えや病気を対象として西洋医学を補う医療だと考えてもらうとわかりやすいと思います。漢方薬は健康保険を使って処方することができます。

漢方薬の副作用について詳しく説明したいと思います。漢方薬の副作用は漢方に含まれている生薬の作用によって起こることが多いです。例えば、こむら返りを治す漢方薬のツムラ68(芍薬甘草湯)は生薬の甘草が多く含まれているので朝昼夕と長期間飲んでいると低カリウム血症が起こります。さらに重症化すると心不全なども引き起こすので注意が必要です。他の甘草が含まれている漢方でも同じようなことが起こる可能性があります。

しかしながら、むくみや慢性心不全に西洋的な治療と、私ですとツムラ17(五苓散)やツムラ30(真武湯)を使うことがあります、これらは甘草が含まれていないので上記のような心配はありません。他にも風邪や肩こりの漢方であるツムラ1(葛根湯)には生薬の麻黄が含まれており、麻黄が合わない人には気持ち悪くなったり、動悸がしたりすることがあります。そういう人の風邪を漢方で治す時には、ツムラ10(柴胡桂枝湯)、ツムラ30(真武湯)などを使うと、麻黄が含まれていないので安心でしょう。

食事の好き嫌いも大事でシナモンが苦手な人は漢方の生薬である桂皮(桂枝)が合わないことが多いです。ですからシナモンが苦手の人は、上記のツムラ10(柴胡桂枝湯)は名前の通り桂枝が入っており、シナモンの匂いがするので飲めない人が多いです。
岡部医院院長 岡部誠之介
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2018年07月25日

夏やせ、夏負け、暑気あたり(犬山市 内科 漢方)

連日、過去に経験したことのない猛暑が続いています。軽い熱中症や体調を崩している方が多い印象です。体力の低下により肺炎、転倒、胃腸炎、風邪なども流行しています。

東洋医学では夏やせ、夏負け、暑気あたりといって、夏に体調を崩すものに対して、漢方で治療をしてきました。

急性の夏負けで嘔気、口が乾くような状態、軽い熱中症のような状態には五苓散を処方します。

夏負けで元気が出ないという場合には補中益気湯を処方します。

冷たいものを飲みすぎて胃腸の調子が悪い、食欲がないなどの症状には真武湯、六君子湯を処方します。

西洋医学では熱中症になった場合には点滴などを行うことはできますが、夏負け、夏バテに処方する薬はありません。そういう時には漢方薬が役に立つことがあります。

また、自身の経験からすると猛暑が終わって秋になると、体調を悪くする高齢者の方が多いです。今年の夏、秋は十分に体調管理に気をつけましょう。

今まで大丈夫だったからというのは危険です。一度の大丈夫じゃありませんでしたで命の危険に関わることがあります。
岡部医院院長 岡部誠之介
追加で面白いイラストがあったので紹介します。確かにアニキという感じですね。
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posted by okabeiin at 16:19| 漢方内科

2018年02月28日

漢方薬について(犬山市 漢方 内科)

漢方薬の処方は健康保険を使うことができます。
漢方薬にもいろいろ種類はありますが、今日は補中益気湯についてご紹介したいと思います。

補中益気湯は低下した気力、体力を補い免疫機能を高める補剤(不足したものを補う漢方薬の総称)の代表的な漢方薬です。別名は「医王湯」と呼ばれています。

漢方薬は食事の影響を受けやすいのでできれば食前、食間に服用してください。食前、食間は飲むのを忘れる、食前は飲めないという方は食後でも大丈夫です。

起床時、14時頃、寝る前に飲んでもらっても良いです。

飲めないよりは、飲めた方が良いというスタンスで良いと考えます。
岡部医院院長 岡部誠之介
posted by okabeiin at 09:15| 漢方内科

2017年02月20日

漢方の勉強会に参加(漢方 内科 犬山市)

 漢方は中国由来の医学で、江戸時代に日本では鎖国が行われていたことにより日本独自に発展をしました。中国の医学とは少し違ったもので日本人により合わせた医学と考えてもらうと良いでしょう(食べ物でいうとラーメンのようなものでしょうか)。
 基本的な考え方として陰と陽、虚と実、気血水があります。陰と陽について簡単に説明すると自然界の相対概念として陰と陽があり、人間の病態や体質も陰と陽で分けられ、温めた方が良い人・病態、冷ました方が良い人・病態があるという考え方です。
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posted by okabeiin at 08:38| 漢方内科